【いつかは死ぬ予定のあなたに、今知っておいてほしいこと】


   平方眞(愛和病院副院長)

  この講演では、「命の終わりが迫ってきた時に困らないようにするためのさまざまな情報」を、なるべく多くの人に役立つように伝えたいと考えて準備しました。
 医師になって30年あまりの間。とても多くの人の人生の終盤とお付き合いして、お別れしてきました。人生の終わりは誰にでもやってくることですが、亡くなっていく本人にとっても家族などまわりの人にとっても「とても大きなお別れ」ですから、悲しく淋しいできごとであることは避けられません。
 しかし多くの人とお別れする中で、悲しさや淋しさの少ないお別れ、逆に満足感や充実感の方が悲しみを上回っているように感じるお別れも少なくないことに気付きました。そういう経験が増えてくると、目の前に現れた「今困っている患者さん」やご家族にも「以前こういう人がいて、こんな風に上手に対応していました」と伝えることができるようになってきます。
 ただし私が直接会って話せる人数は限られています。そこで今日は、これまでの経験から「ここを意識しておくと役に立つ」「これは覚えておきたい」「参考にしたい」というものを集めました。
1.今日この話をしたいと思った理由
2.死ぬ「準備」と「覚悟」は分けて考える
3.「絶望」「抑うつ」「激しい怒り」を避ける
4.状況によって考えるべきことは違う
5.きっと役に立つ実例やノウハウ
6.多死社会を幸せに、きっとできる
7.まとめ
の7項目にまとめてお話しします。どこかで何かのお役に立てれば嬉しいです。